釧路市アイヌ施策推進地域計画から


釧路市計画の「林産物利用特別措置」

下の文章は、釧路市アイヌ施策推進地域計画(2022年3月10日変更認定)から抜粋しました。一部改変しています。
内閣府ウェブサイト 2023/01/04閲覧

1 当該事業の必要性等

釧路市は北海道の東部に位置しており、北部に阿寒湖温泉地区、中部に阿寒地区、南部に釧路地区、西部に音別地区からなる。釧路・阿寒湖エリアは、釧路湿原国立公園と阿寒摩周国立公園の2つの国立公園を有し、豊かな自然に恵まれ、特別天然記念物の「タンチョウ」や「阿寒湖のマリモ」など貴重な動植物とその生態が見られる。また、阿寒湖には、アイヌの人々が暮らしながら文化を継承する場として国内最大規模の「アイヌコタン」があり、釧路地区をはじめ大自然とアイヌ文化が融合する日本でも貴重なエリアとなっている。

アイヌの人たちは、伝統儀式に用いるイナウ(木製の祭具・ヤナギ等の枝で作る)をはじめとする各種の生活用具を周辺の森林から採取した樹木の枝・幹等の林産物を材料として制作していた。こうした林産物の採取は、現在、春採湖周辺の市有地と北海道管理地で行われており、今後においては許可を得て環境省所管地、林野庁所管地、二タイトーの森((一財)前田一歩園財団所有地)、釧路東インターチェンジ周辺においても行う予定である。しかしながら、高齢化が進展しつつあり、環境省所管地、林野庁所管地においては手続きの煩雑さなどから採取するエリアが限られつつあり、今回の共用林野制度の特例措置により、こうした課題を解決し、アイヌ文化の維持及び次世代への継承を図る方針である。

2 当該事業により採取する林産物の種類、使用目的及び概ねの数量

イオル再生事業のための試験栽培用。

エゾイラクサ 若芽の葉は食用。成長した茎からは糸を作成 5株、種約20g
ムカゴイラクサ 若芽の葉は食用。成長した茎からは糸を作成 5株、種約100g
ヤマブドウ 若葉、ツルの若葉、実は食用。ツルで靴や籠を作成 種約200粒
エハ(ヤブマメ) 食用 地上種200粒、地下種約50粒
オオウバユリ でんぷんの採取、食用 10鱗茎、種約50g
ガマ 茎葉を乾燥させゴザを編む 種約2.0g
ニリンソウ 食用 10株、種約50g
ヒエ 食用 10株、種約50g
アワ 食用 10株、種約50g
フキ 食用 50Kg
コゴミ 食用 10kg
ワラビ 食用 10kg
キノコ各種 食用 5Kg
ヤナギ 儀式・儀礼用 枝約50本

3 2の林産物の採取を希望する場所及び管轄する森林管理署又は森林管理支署の名

場所:釧路市阿寒町 根釧西部森林管理署国有林
管轄:北海道森林管理局根釧西部森林管理署

4 予定する契約者

釧路市

5 予定する共用者(共用者の要件の考え方等を記載)

釧路市内に居住する者であって、イオルの再生やイナウの作成・使用等を通じて、アイヌ文化の復興等に資する意向のある者等(個々の共用者は契約時に作成する規約書において記載する)

6 管轄する森林管理署または森林管理支署との事前調整状況

8月23日に釧路市から計画の概略を説明し、内容について了解を得た。


参考:北海道森林管理局開示文書(2023/02/27)


釧路市計画の川サケ利用「特別措置」

下の文章は、釧路市アイヌ施策推進地域計画(2022年3月10日変更認定)から抜粋しました。
内閣府ウェブサイト 2023/01/04閲覧

1 当該事業の概要

アイヌの人々にとって鮭は、カムイチェプ(神の魚)、シペ(本当の食べ物)として、食料としてはもちろん衣服や履物にもなり、アイヌの人々の生活に欠かすことのできない大切な魚かぎであった。鮭が遡上する舌辛川、阿寒川沿いのコタン(集落)では、マレク(突き鉤)等を使った漁が行われ、秋にはその年最初に獲れた鮭をカムイに捧げる儀式である「アシリチェプノミ(新しい鮭を迎える儀式)」が行われていた。アイヌにおいて継承されてきた漁法を保存または継承し、漁法等に関する知識の普及啓発を行うため、平成30年度に白糠郡白糠町の茶路川にて白糠町のアイヌ協会会長からマレクの作成方法、漁法等に関する知識を習得した。令和元年度からは、マレク漁を一般の子供から大人に体験してもらい、鮭を使ったアイヌ伝統料理を提供する体験交流型イベントを開催し、また、とばや鮭の皮を用いた服・靴などを作り、アイヌ文化の伝承と理解の増進を図る方針である。

2 実施主体

一般社団法人阿寒アイヌコンサルン
住所:釧路市阿寒町阿寒湖温泉4丁目7番19号
代表者氏名:理事長廣野洋

3 採捕の区域

釧路市阿寒町の舌辛川(富士見橋から鹿鳴の滝の区域)
阿寒川(釧路市桜田12線、桜田橋上流端の線から北電飽別電力所ピリカネップ取水口下流端の線までの区域)
白糠郡白糠町の茶路川(大苗河原線大苗橋から町道上川西右線協和橋の区域)

4 採捕の期間

9月~11月

5 採捕する水産動物の種類及び数量

鮭合計100尾

6 使用漁具

種類:マレク
規模:長さ200cm
数量:5本
漁法:マレク(突き鉤)によるアイヌ民族伝統漁法

7 採捕従事者

数名程度
釧路市教育委員会生涯学習課

8 使用船舶

なし

9 関係機関との事前調整状況

(社)十勝釧路管内さけ・ます増殖事業協会との事前調整状況
令和元年8月23日に釧路市から計画の概略を説明し、内容について了解を得た。令和3年2月24日に計画変更の概略を説明し、内容について了解を得ている。令和4年2月3日に計画の変更の概略を説明し、内容について了解を得ている。

白糠漁業協同組合
令和元年8月26日に釧路市から計画の概略を説明し、内容について了解を得た。令和3年2月24日に計画変更の概略を説明し、内容について了解を得ている。令和4年2月3日に計画の変更の概略を説明し、内容について了解を得ている。