白糠町アイヌ文化の保存・伝承・活用推進計画から


白糠町計画の「林産物利用特別措置」

下の文章は、白糠町アイヌ文化の保存・伝承・活用推進計画〜ウレシパ・プラン〜(2021年9月6日変更認定)から抜粋しました。一部改変しています。
内閣府ウェブサイト 2023/01/04閲覧

1 当該事業の必要性等

本町は、北海道の東部に位置し、釧路市、浦幌町、本別町、足寄町に隣接している。町域は南北に長く、南部は太平洋に面して市街地があり、中央部は農村地帯、北部は森林地帯となっている。森林面積は63,967haで、森林率は約83%となっており、そのうち約58%が国有林で占められている。

アイヌの人たちは、さまざまな生活用具や衣服の素材として樹木の枝、幹、皮を用いてきた。特に伝承儀式に用いるイナウ(木製祭具で主にヤナギの枝で作る)、イクパスイ(捧酒箸)は、祭具として欠かすことができないものであり、また、古式舞踊の道具でもあるク(弓)、アィ(矢)なども、材料の採取方法を含め、アイヌの伝統文化として継承していかなければならない。さらに、木の実や林内に生育する山菜は、アイヌ食文化の素材であり、今日行われている伝承儀式(アイヌ三大祭)で饗される食事の材料として必要なものである。こうした林産物の採集は、入林や購入に係る手続き等の煩雑さから、国有林内では行われておらず、民有林で事前に所有者の了解を得た上で採取してきたが、高齢化が進み住居から離れた民有林まで採取しに行くことが困難になりつつある中、近隣の国有林野で採取できるようにならないかとの要望がアイヌの人々から強く出されていた。

2 当該事業により採取する林産物の種類、使用目的

ヤナギ:アイヌ伝承儀式の実施に用いるイナウの材料
オヒョウニレ:皮から衣服の繊維
エンジュ、タモ、イタヤ、シラカバ、イチイ、ハシドイ、ハンノキなど:イクパスイ、弓、矢、マレク(回転銛)の柄など
ギョウジャニンニクほか山菜各種

3 当該事業により採取する林産物の概ねの数量

いずれも利用目的、製作品に応じて、国有林野から採取可能な量について資源状況を確認したうえで数量を設定する。

4 2の林産物の採取を希望する場所及び管轄する森林管理署の名称

場所:白糠町内国有林野
管轄:根釧西部森林管理署

5 予定する契約者

白糠町

6 予定する供用者

白糠町内に居住する者であって、イナウをはじめとする木製品の作製、使用等を通じてアイヌ文化の復興等に資する意向のある者等(個々の供用者は契約時に作成する規約書において記載する)

7 管轄する森林管理署等との事前調整状況

令和元年8月28日、計画の概略を説明し、内容について概ね了解が得られた。
先方:林野庁北海道森林管理局根釧西部森林管理署


白糠町計画の川サケ利用「特別措置」

下の文章は、白糠町アイヌ文化の保存・伝承・活用推進計画〜ウレシパ・プラン〜(2021年9月6日変更認定)から抜粋しました。一部改変しています。
内閣府ウェブサイト 2023/01/04閲覧

1 当該事業の概要

アイヌ民族は、鮭をカムイチェプ(神の魚)、シペ(シ:本当に、エ:食べる、ペ:物)と呼び、食料としてはもちろん、衣服や履物の材料にするなど、アイヌの人々の生活における大切な魚として、川でマレク(回転式自在銛)等を使って捕獲されていた。白糠町では、このような伝統的な狩猟や漁労の復元をとおしてアイヌ文化に理解を深める機会として、平成10年に北海道ウタリ協会白糠支部が「アイヌ文化を再生する集い」を、翌平成11年には、白糠アイヌ文化保存会とウタリ協会白糠支部が共催し「アイヌ古式伝承マレック漁」が開催された。その後、平成23年からは、白糠アイヌ協会が自主事業として、マレク漁を実施し、捕獲した鮭の利用法(食料や靴等)を含め、伝統文化としての継承に取り組んでいる。

今後は、町内の小中学校で実施している「アイヌ文化出前講座」のプログラム、さらには、観光客へのアクティビティとしての提供をとおして、アイヌ文化の伝承と理解の増進を図りたいと考えている。

2 実施主体

白糠アイヌ協会(住所:白糠町東1条南3丁目2番地2、代表者:会長天内重樹)

3 採捕する水産動植物の種類及び数量

種類:さけ・ます
数量:150尾以内

4 採捕の区域

白糠町茶路川の大苗橋から協和橋までの区域(約6km)

5 採捕の期間

10月頃~12月頃(約80日間)

6 使用予定漁具

種類 マレク アプ(やす、かぎ)
規模 長さ2~3m 長さ2~3m
数量 10本 やす5本、かぎ5本
漁法 回転式自在銛によるアイヌ民族伝統漁法 やす・かぎによるアイヌ民族伝統漁法

7 予定する採捕従事者

白糠アイヌ協会会長天内重樹ほか20名程度

8 使用予定船舶

なし

9 関係者との事前調整状況

一般社団法人十勝釧路管内さけ・ます増殖事業協会
令和元年8月26日、計画の概略を説明し、内容について了解を得ている。

白糠漁業協同組合
令和元年8月26日、計画の概略を説明し、内容について了解を得ている。